ハーブの小袋を並べると、どれも「細かな種」に見えるかもしれません。しかし、発芽に向く温度、光の必要性、土をかける厚さは同じではありません。深く埋めれば乾きにくい、表面へ置けば芽が出やすい、と一つの方法へまとめないことが出発点です。

覆土には、種を乾燥から守り、用土へ密着させる役割があります。一方、光が発芽を助ける種では、厚い土が光を遮ります。種袋の指示を読み、品目ごとに「覆わない・ほとんど覆わない・ごく薄く覆う」を分けます。

三つのハーブは温度も違う

バジルは暖かさと光を待つ

バジルの発芽適温は20〜25℃で、中間地のまきどきは4月中旬〜8月中旬です。カレンダー上で春になっても、冷たい土へ急いでまくと発芽条件がそろいません。最低気温や容器を置く場所を確かめ、暖かくなってから始めます。

トーホクの栽培案内では、バジルは発芽に光が必要な好光性種子とされ、深く埋めず、種が隠れる程度に薄く土をかけます。「好光性だから乾いた表面へ放置する」のではなく、湿らせた用土へ密着させ、光を遮らない薄さにします。

カモミールは細かな種をほとんど覆わない

カモミールは、ここでは一年草のジャーマンカモミールを扱います。発芽適温は15〜20℃、中間地では2月中旬〜3月中旬と9月上旬〜10月上旬がまきどきです。

種が非常に細かいため、確認済みデータでは覆土はほとんど不要です。先に用土を湿らせ、種を一か所へ固めず表面へまきます。水は細かな霧や底面から静かに補い、種を土の奥へ流し込まないようにします。

パセリは薄く覆い、ゆっくり待つ

パセリの発芽適温は15〜20℃で、中間地のまきどきは3月上旬〜4月下旬と8月中旬〜9月中旬です。発芽には10〜14日ほどかかる目安があり、数日で動きが見えなくてもすぐにまき直さず、札の日付を見て待ちます。

パセリも好光性種子なので覆土はごく薄くします。タキイ種苗の家庭菜園資料では、発芽をそろえる準備や種まき後の管理が案内されています。処理済み種子など商品によって扱いが異なる可能性があるため、浸水などを行う前に種袋を確認します。

覆土の前に整える四つのこと

用土は細かく平らにする

大きな土の塊や深いくぼみがあると、同じ薄さで覆えません。種まき用の細かな用土を使い、容器の縁ぎりぎりまで入れず、水やりの余白を残して表面をならします。

水は種をまく前にも与える

乾いた用土へ細かな種をまき、勢いよく水を注ぐと位置が変わります。先に用土全体を湿らせて水を落ち着かせ、まいた後は霧や底面給水で補います。常に水へ浸けるのではなく、乾燥と過湿の両方を避けます。

温度は部屋の気温だけで決めない

窓辺、床、屋外の鉢では、用土の温度が室温表示と同じとは限りません。バジルは15〜20℃の二品より暖かさを必要とします。一つのトレイへ三品をまとめ、同じ場所で管理するより、適温が近い時期へ分ける方が自然です。

名前と日付を必ず残す

芽生えた直後は、ハーブ同士や雑草との区別に迷うことがあります。名前、品種、まいた日、覆土の有無を札へ書けば、発芽までの日数を落ち着いて比べられます。

発芽後は管理を切り替える

発芽前の保湿だけを続けると、芽が出た後に蒸れや徒長を招くことがあります。覆いを使った場合は外し、明るさと風通しを確保します。急な強光や強風へいきなり出さず、苗の様子を見ながら環境を変えます。

バジルは暖かさ、カモミールは極細の種、パセリはゆっくりした発芽が判断の目印です。同じ「ハーブの種まきセット」に見えても、一鉢ずつ適温と覆土を確認する。その小さな違いが、発芽を待つ時間を分かりやすくしてくれます。